新型コロナウイルス感染症の拡大によって、経済が停滞し、失業する人が増加しています。そのような状況で、失業保険の受給期間延長、給付日数延長の手続きができるようになりました。今回は、新型新型コロナウイルス感染症に伴う失業保険の延長について詳しく解説していきます。
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新型コロナウイルス感染症によって失業者が急増
新型コロナウイルス感染症は、2020年1月中旬頃に中国・武漢で確認され、世界中に拡大し、日本でも3月頃から急速に感染者が増加しました。
緊急事態宣言の発令や各自治体の取り組みなどによって、ピークに比べると感染者数が落ち着いたものの、いまだ予断を許さない状況です。
感染症拡大を防止するために、様々な業種で営業自粛という形がとられ、観光・宿泊業や外食産業などは大きなダメージを受けています。経済が停滞したことによって、営業がままならず失業に追い込まれる人が増えているのは深刻な問題です。
総務省統計局の「労働力調査」の4月分の結果によると、2019年に比べると13万人多い失業者が確認されており、3ヶ月連続で増加しています。
このような現状では、失業者が再就職するまでを援助する失業保険を必要とする人が増えるとともに、現在失業手当を支給されている人の再就職が難しくなる可能性があると言えるでしょう。
新型コロナウイルス感染症に伴って失業保険の受給期間延長が可能に
新型コロナウイルス感染症による失業の現状を受けて、受給期間を延長できるようになりました。受給期間とは、失業手当を受け取れる期間のことで、通常は原則離職した日の翌日から1年間です。
新型コロナウイルスの影響で仕事に就けない場合は、受給期間の手続きができます。受給期間延長の手続きについて、申請期間や提出書類などを詳しく理解していきましょう。
条件にあてはまる場合、受給期間を最大3年延長可能
受給期間延長の条件にあてはまる失業者については、本来の受給期間から最大3年延長することができます。原則の離職日翌日から1年間よりも期間が延びるので、失業手当を受け取りやすくなるでしょう。
受給期間延長を申請できる主な理由は以下のようになっています。
・新型コロナウイルスに感染している疑いがある症状の方
・感染症拡大を防ぐためにハローワークへの来所を控える方
・新型コロナウイルスの影響で子どもの養育が必要になった方
注意点として、高年齢者求職者給付金、短期特例被保険者に支給される特例一時金は対象外です。
受給期間延長手続きの申請期間
申請期間は、離職日の翌日から30日を過ぎてからと定められています。延長後の受給期間は4年ですが、失業手当をすべて受給するためには、早めの申請がおすすめです。
受給資格の決定がまだ済んでいない場合は、受給期間延長と同時に手続きをすることができます。働けなくなってから30日を経過したらすぐに手続きを行いましょう。
受給期間延長手続きに必要な書類
受給期間延長には、受給期間延長申請書と離職票-2が必要になります。既に受給資格が決定している場合は受給資格者証が必要です。
新型コロナウイルス感染症の影響で子どもの養育が必要になったことが理由の方は、子どもとの続柄や年齢を確認できる書類を求められます。母子手帳の写しや住民票などを別途用意しましょう。
雇用保険特例法によって失業保険の給付日数も60日延長できるように
2020年6月12日に国会で第二次補正予算が通過し、雇用保険特例法が成立しています。失業者の求職活動の難航を見越し、失業手当の給付日数を60日間延長できるようになりました。
失業手当の給付日数は、被保険者期間や年齢、離職理由などに応じて決定されます。90日・120日・180日・210日・240日・270日・330日のいずれかに該当し、給付を受けることができるという仕組みです。
90日~240日までに該当する方は、60日間給付日数を延長できます。例外として、270日に該当する35歳以上45歳未満の方、330日に該当する45歳以上60歳未満の方については30日間の延長です。
給付日数延長の対象者
対象者になるための一つ目の条件は、特例法が施行された6月12日以降に手当の所定給付日数が終了する方です。
2つ目の条件は、離職時期によって対象者が変わってきます。離職日に対応した対象者を確認しましょう。
離職日 | 対象者 |
~2020年4月7日(緊急事態宣言発令以前) | 全受給者 |
2020年4月8日~5月25日(緊急事態宣言発令期間中) | 特定受給資格者及び特定理由離職者 |
2020年5月26日~(緊急事態宣言全国解除後) | 新型コロナウイルス感染症の影響によって失業した特定受給資格者及び特定理由離職者 |
給付日数延長の対象にならないケース
給付日数延長は、積極的に求職活動を行っていることが前提の制度です。
以下の条件に当てはまる場合には、延長の対象とならないので注意しましょう。
・所定の求職活動がないことで失業認定日に不認定処分を受けたことがある場合
・やむを得ない理由がなく、失業認定日に来所しなかったことにより不認定処分を受けたことがある場合
・雇用失業情勢や労働市場の状況などから、現実的ではない求職条件に固執される方等
・正当な理由なく、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、指示された公共職業訓練を受けること、再就職を促進するために必要な職業指導を拒んだことがある場合
参考:「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例について」https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_00583.html
「みなし失業手当」を直接申請できる制度を新設
特例法が施行される前は、新型コロナウイルス感染症の影響で休業となった場合、企業から休業手当が休業者に支給されていました。
ただ、休業しているにも関わらず、休業手当が支払われないという問題が起こり、特例法では「みなし失業手当」を申請できる制度が新設されています。
「みなし失業手当」とは、本来給付されるはずだった休業手当のことで、中小企業限定ではあるものの、企業ではなく国に直接申請できるようになりました。支給額は、月額上限33万円の範囲内で、休業前賃金の80%と定められています。
新型コロナウイルス感染症に伴う失業保険の延長制度を活用しよう
新型コロナウイルス感染症に伴う失業者の増加を受けて、失業保険の受給期間延長や失業手当の給付日数延長を申請できるようになりました。
受給期間は最大3年、給付日数は最大60日延長できるので、失業者の生活や求職活動の支えとなるでしょう。制度の条件や申請期間などをチェックして、失業保険に関わる延長制度を上手く活用してみてくださいね。