コロナで副業解禁の動きが加速!解禁のポイントとメリット・デメリット

働き方改革などによって、副業解禁の動きが強まりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響でさらに動きが加速しています。企業にとっては、流れに合わせて対応するかどうか悩ましいところです。そこで今回は、コロナに伴う副業解禁について、背景や解禁のポイント、メリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。

コロナに伴う副業解禁の背景

副業解禁の動きはコロナ前にもありましたが、コロナによってなぜ加速しているのでしょうか?考えられる背景を4つご紹介していきます。

雇用環境が悪化している

コロナの流行によって、これまでのように経済が立ち行かなくなっています。業種によって差はあるものの、企業に与えるダメージも大きく、雇用環境への影響も顕著です。

多くの働き手が休業や給与カットなど伴う収入ダウンなどにあっています。

「自社だけでは生活を支え切れない」という想いだけでなく、「将来性を考えて副業でスキル・ノウハウを身につけておきたい」といった理由での副業を始める人も多いです

在宅勤務の継続で使える時間が増えている

新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、在宅勤務に切り替える企業が増えました。在宅勤務では、通勤時間がなくなるので自由に使える時間が生まれます。

そこで新たに生まれた時間を有意義に使おうと、副業に取り組みたい働き手が増えているのが現状です

スキルアップを目指す人材のニーズに応えたり、優秀な人材の確保のために制度を変えたりするなど、副業解禁の流れが強まっています。

企業がアウトソーシングを積極的に活用し始めている

人材採用・育成にかかるコストのカットやコア業務に時間を使えるといったメリットを理由に、企業がアウトソーシングを積極的に活用し始めています。

働き手にとっては、個人で仕事を獲得できるチャンスと言えるでしょう。

クラウドソーシングなどの需要も高まり、副業を後押しする流れが生まれています

働き方改革にともなう労働時間の減少で副業ニーズが高まっている

コロナによって生まれた時間だけでなく、2018年から本格的に始まった働き方改革も副業解禁に関わりが強いです。

長時間労働の是正や柔軟の働き方などによって、これまでよりも労働時間が減少する傾向があります

労働時間の減少とともに残業代が減っていることも背景にあるでしょう。コロナの影響も相まって、さらに副業ニーズが高まっています。

コロナ禍での副業の現状

雇用環境の悪化や個人の時間の増加などにともなって、副業解禁の動きが強まっています。

副業ニーズの高まりを受けて、副業の現状も気になるところです。コロナ禍での副業解禁の現状をおさえていきましょう。

ギグワーカーが増加している

ギグワーカーとは、インターネットを通じて単発で請け負う仕事をする人のことを言います。デリバリーサービスで有名な「Uber Eats」が代表的な例です。

本業の勤務終了後や休日などのすき間時間を活用でき、本業と両立しやすい副業と言えるでしょう。新型コロナウイルス感染症を背景に、ギグワーカーが増加傾向にあります。

クラウドソーシングの利用者が急増中

発注者と受注者をつなぐクラウドソーシングの利用者も急増しています。

日本経済新聞によると、ランサーズ、クラウドワークス、うるる、ココナラの4社において、5月末時点で昨年末比で約15%増加し、登録者が約700万人に増えたと発表しました。

副業者が急増しているサイトもあり、クラウドソーシングのニーズが急速に高まっています

参照元:日本経済新聞

副業マッチングサービスの実証実験を行っている企業も

「労働時間の管理が難しい」「副業先が競業になり得る」といった問題は、副業解禁を困難にする問題のひとつです。

そこでいくつかの企業では、本業と最適な副業をマッチングするサービスの実証実験に参加しています。

所属している企業が認めた副業先を選べることは、働き手にも好評でした。ただ、労働時間を自己申告でシステムに入力するので、正しいデータかどうかに不安があります。

さらにブラッシュアップされ実用化されれば、企業にもワーカーにも最適な副業を見つけられるようになるでしょう

コロナ禍で副業を解禁するメリット・デメリット

副業ニーズが高まるなかで、企業にとっては副業を解禁するかは簡単には決められないでしょう。

そこで検討の参考になる、副業解禁のメリット・デメリットをピックアップしてみました。

どのような影響があるかをイメージしながら、副業解禁を十分に検討しましょう。

副業解禁で得られるメリット

副業解禁によって、従業員の成長や確保などを期待できるでしょう。主なメリットを2つご紹介します。

従業員がスキルアップし本業に生かされる

副業を解禁すると、従業員は本業とは異なる場所で経験を積むことができます。

本業に関わるスキルを身に付けたり、異なる分野の知識を取り入れたりして、スキルアップを実現したりできます

副業で得たスキルを本業に生かすことで、より企業が活性化するでしょう。

優秀な人材を確保できる

副業が禁止されていると、優秀な人材ほどスキルアップやキャリアアップを目指して、流出する可能性があります。

副業を解禁すれば、企業に所属しながら、興味のある仕事や分野にチャレンジできるようになるので、人材流出の防止に効果的です

副業解禁で気をつけたいデメリット

副業解禁には、良い面だけでなく、気をつけたいデメリットもあります。3つのデメリットをしっかりおさえていきましょう。

従業員の労働時間を管理しにくい

副業をすることによって、従業員の労働時間は多くなります。

本業に支障が出ないように管理すべきですが、副業は個人の裁量に任せられるので、企業側が介入し管理するのは難しいです

副業先と競業になってしまうかもしれない

従業員が副業を選ぶ上で、本業に関わりのある業種でスキル・ノウハウを生かすという働き方が多いでしょう。

自社と同じ業種が副業先になることもあり、競業になってしまうかもしれません

信用の低下などのリスクがあるので、どのような副業をするかについて一定の指導が必要になるでしょう。

情報漏えいのリスクがある

副業に本業で得たスキル・ノウハウを活用する場合は、企業の機密情報が漏洩するリスクがあります。

情報の取り扱いについてあらかじめルールを定めることが求められますね

企業が副業を解禁する際のポイント

副業解禁を決めた際は、すぐさま解禁を周知するのではなく、いくつかの準備が必要です。

労働時間が過剰になってしまったり、規定が曖昧だったりすると、統率がとれずに自社の運営に影響が出るでしょう。主なポイントを5つご紹介していきます。

従業員の労働時間管理

本業と副業先の労働時間は、基本的には通算することになります。通算したところ、1日8時間週40時間の法定労働時間を超えると、時間外労働の賃金が発生します。

本業と副業先の両方で雇用契約を結んでいる場合は、どちらの企業が時間外労働賃金を支払うかも重要なポイントです

例えば、A社で7時間勤務し、その後B社で2時間勤務した場合は、B社が1時間分の賃金を支払うことになります。

ただし、クラウドソーシングなどで副業をする場合は、明確な雇用契約を結ばずに、サイト上で副業先と取引することになるので、労働時間の管理は難しいでしょう。

通勤・業務災害の取り扱いを決める

副業先への通勤や、副業先の業務内での労働災害などは、責任の所在が難しくなります。

通勤災害や労働災害が起きた側が責任を負いますが、副業に取り組む従業員や副業先と取り扱いを共有する必要があります

社会保険の取り扱いを決める

社会保険や雇用保険は、基本的には本業の会社で加入することになります。社会保険については、副業先でも条件を満たせば、複数加入することが可能です。

その場合、主とする所属先を選択し、保険証を発行する手続きを行わなければなりません。従業員と社会保険の取り扱いについて、状況を事前に把握しておきましょう。

副業の禁止・制限の規定を決める

副業について、すべて従業員に任せてしまうと、企業に不利益が生じる可能性があります。

本業に支障が出る場合、企業情報が漏洩してしまう場合、会社の信用・信頼を損なう場合などに対して、禁止・制限の規定を定めましょう

規則を守らなかった従業員に対するルールを決めておく

禁止・制限の規定を定めることと合わせて、規則を守らなかったときのルールも決めましょう。

懲戒処分や解雇などの処分を決めておけば、抑止力になり、企業に不利益を与える副業をあらかじめ防ぐことができます

ルールによっては、不公平感・不信感を与えてしまうかもしれないので、従業員の働き方を共有・尊重した上で整備していきましょう。

副業解禁に合わせて動き出すためには

所属している企業が副業解禁を決めたら、副業に取り組めるようになります。

副業で成果を出したり、本業に生きるスキルを身につけたりするためには、闇雲に始めるのはおすすめできません。目的を明確にするなど、準備から着実に進めていきましょう。

勤めている企業の就業規則を確認する

すぐに副業探しを始めるではなく、まず所属している企業の就業規則を確認しましょう。副業が認められていれば問題ありませんが、解禁されていなければ問題があります。

副業解禁されていないなかでの副業が発覚すると、処分の対象になるでしょう

本業を失ったり、給与が減ったりする可能性もあるので、確認を怠ってはいけません。

副業をする目的を明確にする

副業で収入を得る、スキルを身に付けるといった成果を出すためには、目的を明確にすることが大切です。

「副業をする人が増えているから始める」「時間が余っているから始める」といった理由では、副業が続かなかったり、責任を持って取り組めなかったりするでしょう。

何のために副業をするのか目的を明らかにし、目標を持って取り組むことが成功のポイントです

クラウドソーシングなどで仕事を探す

就業規則を確認し、副業をする目的が決まったら、いよいよ副業探しを始めましょう。仕事探しでおすすめしたいのがクラウドソーシングサービスです。

クラウドソーシングサイトに登録すれば、依頼主のプロジェクトに提案したり、スカウトを受けたりして、副業を始めることができます。

様々な分野の仕事が掲載されており、アウトソーシングの需要も高まっているので、最適な仕事を見つけられるでしょう

労働時間の管理や副業のスケジュール管理などをしっかり行い、本業と同じように責任を持って取り組むことが大切です。

コロナ後の副業解禁の動きに注目しよう

コロナによって、雇用環境の悪化、自由に使える時間の増加、アウトソーシングの活用などを背景に、副業解禁の動きが強まっています。

副業を解禁する上では、副業禁止・制限の規定や規定を守らなかったときの処分、社会保険の取り扱いなどを定め、社内で共有することが大切です。

副業を始めようと考えている方は、まずは就業規則を確認し、副業に取り組む目的を明らかにし、仕事探しを始めましょう。

コロナの影響はまだ継続すると考えられるので、今後も副業解禁の動きに要注目です。