コロナに伴う在宅勤務の割合はどのくらい?継続状況や導入が難しい理由も要チェック

新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの企業が在宅勤務を導入しました。緊急事態宣言は解除されていることもあり、在宅勤務状況に変化が出てきています。今回は、コロナに伴う在宅勤務の割合について、コロナ前とコロナ後の比較、継続状況などを解説していきます。

コロナ前後の在宅勤務の割合はどう変わった?

新型コロナウイルス感染症によって、出社が難しい状況になり、在宅勤務に切り替える企業が増えています。

コロナ前にも企業によっては在宅勤務を導入していましたが、コロナ禍でどのように割合が変化しているのでしょうか?

緊急事態宣言後のテレワーク実施率が2倍近くに

株式会社パーソル総合研究所では、緊急事態宣言解除後のテレワークの実態について調査を行いました。

新型コロナウイルス感染症の流行前の3月9日~3月15日までは、テレワーク実施者は全体の13.2%でしたが、7都府県の緊急事態宣言後は約2倍の27.9%まで上昇しています

緊急事態宣言後もわずかに減少してはいるものの、5月29日~6月2日時点で25.7%となっており、コロナ前よりも在宅勤務の割合が増えています。

エリア別の在宅勤務の割合

エリア別に在宅勤務の割合を見てみると、全体が3月13.2%、4月27.9%、5月25.7%と推移しているなか、関東エリア、近畿エリアが20%を超えています。

関東エリアは3月18.5%に対して、4月41.0%、5月38.3%、近畿エリアは3月11.9%に対して、4月25.8%、5月23.5%という結果がでました

感染の拡大が顕著だったエリアほど在宅勤務の割合が高い傾向にあります。

業種別の在宅勤務の割合

業種別の在宅勤務の割合は、業種によって大きな差が現われています。

在宅勤務でも大きな支障がない業種は在宅勤務の割合が高く、コンサルタントは4月74.8%、経営企画は4月64.3%、IT系技術職は4月61.8%と、6割以上の企業が在宅勤務に切り替えています

一方、仕事の性質上在宅勤務が難しいと見られる職種では、理美容師は4月2.6%、医療系専門職は4月3.6%、販売職は4月5.4%です。

感染拡大防止のために在宅勤務に切り替えたいという思いはあっても、実現できないのが現状となっています。

規模別の在宅勤務の割合

企業の規模別の在宅勤務の割合では、従業員数が多いほど実施率が高くなっています。

・10000人以上の企業:42.5%
・1000~10000人未満の企業:36.3%
・100~1000人未満の企業:25.3%
・10~100人未満の企業:25.3%

規模ごとに回答した企業数は異なりますが、規模が小さいほど在宅勤務の実施率が低いのが特徴的です

限られた人員で業務を行う必要があり、状況に合わせた対応が難しく、大規模企業との差が現われていると言えるでしょう。

在宅勤務への不安も変化してきている

在宅勤務の割合がコロナ前よりも変化しているだけではありません。在宅勤務開始当初の4月と5月では、不安や課題も変わってきています。

4月は、「非対面のやりとりは相手の気持ちがわかりにくく不安」「上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安」「出社する同僚の業務負担が増えていないか不安」がトップ3でした。

5月に入ると、「上司から公平・公正に評価してもらえるか不安」「成長できるような仕事を割り振ってもらえるか不安」の割合が増えています。

在宅勤務に慣れつつあるものの、上司に対面しないからことから、評価やキャリアなどへの不安が高まっています

参照元:PR TIMES

コロナに伴う在宅勤務は継続されている?

緊急事態宣言は解除されましたが、各地で感染が確認されており、依然として余談を許さない状況です。

3密になりやすい通勤やオフィス業務はリスクがありますが、在宅勤務は継続されているのでしょうか?継続状況について、現状を把握しておきましょう。

緊急事態宣言解除後、通勤に戻る企業も多い

緊急事態宣言解除されたことで、完全な自粛ではなく経済も動かしながら感染拡大に配慮する“アフターコロナ”に突入しました。

緊急事態宣言前と同じく、在宅勤務を継続する企業も多くありますが、通勤に戻る企業も増えています

仕事の性質上継続が難しい、これまで通りの勤務を命じられているなど、理由は様々です。

テレワークとの相性によって傾向が異なる

在宅勤務を継続できるかどうかは、テレワークとの相性によります。

最前線で働く医療関係者はもちろん、対面で運営せざるを得ない理美容師や小売店、飲食店などは、通常勤務を続けるまたは休業するといった選択肢に限られてしまうのです

一方、普段からパソコンでの業務が多く、非対面でも問題がない業種は在宅勤務を継続している割合が高くなっています。在宅勤務に切り替えられる部分を認識し、定着の動きも出てきています。

在宅勤務の継続を希望している人は7割以上

在宅勤務から通常勤務に戻る企業が多いなか、働き手からは「在宅勤務を続けてほしい」と叫ばれています。

全体で69.4%を占め、20代女性は79.3%が在宅勤務継続を希望しているというデータもあります

自らが感染することはもちろん、知らぬ間に感染を広げることなどを恐れたり、在宅勤務の定着を望んだりするなど、在宅勤務のニーズは高いです。

参照元:PR TIMES

コロナに伴う在宅勤務を継続できない理由

在宅勤務を継続している企業もあるものの、緊急事態宣言後、労働者の希望とは裏腹にこれまで通りに戻っている企業もあります。

在宅勤務が推奨されるなか、なぜ継続できないのでしょうか?主な理由を4つご紹介していきます。

業務上テレワークの導入が難しい

対面営業せざるを得ない業種は、テレワークを導入するのは難しいでしょう。休業すると売上がなくなってしまうので、感染対策をした上で通常営業しなくてはいけません

一部業務を在宅勤務にすることは可能ですが、従業員全員を在宅勤務に切り替えるのは難しくなっています。

制度が整備されていない

在宅勤務が推奨されているものの、制度が整備されていないことによって、通常勤務に戻らざるを得ないという企業もあるようです。

これまで在宅勤務を導入していなかった企業では、対応が間に合っていない場合もあるでしょう

労働環境が整っていない

在宅勤務で業務をするための労働環境が整っていないのも大きな問題です。

資料がデジタル化されていない、コミュニケーションツール・システムに慣れていない、個人情報を持ち出せないなどの障害があり、会社でしか仕事ができない状態になっています。

従業員個人の労働環境も欠かせない要素で、デスクやチェア、モニターなどが自宅にないスタッフもいるでしょう

十分な準備ができていないと、業務効率が落ちてしまうおそれもあります。

会社の方針で通勤に切り替わっている

労働環境や制度があっても、会社の方針で在宅勤務から通勤に戻っている例もあります。

従業員にとっては、方針に従わなければならないので、不安を抱えながら通勤しなくてはいけません

コロナで変化する在宅勤務の在り方に対応しよう

コロナ前とコロナ後では、在宅勤務の割合が変化しています。緊急事態宣言前と後では約2倍に割合が上昇しており、業種やエリア、規模別に見ても増加傾向にあります。

ただ、テレワークとの相性や制度が整備されていないこと、労働環境が整っていないことなどによって、コロナ前の通勤に戻っている企業もあることは問題点と言えるでしょう。

アフターコロナの時代であり、今後も在宅勤務の割合の動向を注目する必要があります。