新型コロナウイルス感染症の流行によって、経済の状況は大きく変化しています。停滞している企業もあれば、需要を高めている企業もあります。自社の状況が悪化していたり、この機会をチャンスと捉え行動したりするうえで、コロナ禍は転職のチャンスと言えるのでしょうか。今回は、コロナ禍での転職市場・選考の変化、チャンスをつかむ方法などを解説していきます。
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コロナによる転職市場の変化
コロナ前とコロナ後では、経済の状況が異なり、転職市場にも変化が現れています。どのような変化があるのかをまず把握していきましょう。
長年安定してきた有効求人倍率が減少傾向に
有効求人倍率は、一人あたりどれくらいの求人があるかを示す数値です。景気と連動する傾向があり、経済指標にも使われています。
「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」のデータを参考にすると、2017年1月から2020年当初までは、新規学卒者を除きパートタイムを含んだときの有効求人倍率は約1.4で安定していました。
コロナ後の2020年6月時点では、1.11にまで有効求人倍率が下がっています。一人あたりの求人数が減っているので、就職や転職はこれまでよりも厳しいと言えるでしょう。
業種によって求人状況が異なる
有効求人倍率は低下していますが、すべての業種が求人を控えているというわけではありません。
コロナによって売上が下がっている業種がある一方で、需要が高まり業績がアップしている業種もあります。
継続的に事業を展開できている企業では、求人も引き続き行っていることが多いです。求人が活発な企業を選べば、転職を有利に進められるでしょう。
今後も縮小傾向が続くことが予想される
業種によっては活発に求人を行っているものの、就職・転職市場全体としては、今後も縮小傾向が続くと予想されています。
コロナの収束はまだ終わりが見えていない状態であり、見通しが立っていない企業も多くあります。
転職を考えている方は他にも多くいるので、状況が厳しいなかで転職を成功させなくてはいけません。
コロナショックによる選考の変化
コロナによって、有効求人倍率が下がるなど求人状況は決して良いとは言えません。そのようななかでも、選考は行われており、従来の選考の傾向から変化が見られます。
ポジティブな変化もあるので、選考の変化を前向きに捉えていきましょう。
オンライン面接の普及で出会いのチャンスが広がっている
コロナ前は、普段通り人との接触ができていたので、対面での面接が主流でした。
コロナによって対面での面接が難しくなったことで、テレビ会議システムなどを使ったオンライン面接が増えています。
オフィスに出向かずに面接を受けられ、企業にとっても居住地や時間に縛られず、人材とアプローチできるようになりました。
オンライン面接の普及によって、これまでにはなかったチャンスが広がっています。今までは出会えなかった仕事に巡り会えるかもしれません。
未経験のポテンシャル人材の採用は減っている
コロナ前では、未経験でも可能性を秘めたポテンシャル人材の求人が活発に行われていました。しかし、コロナ禍では未経験者の採用・育成コストをかけられない企業も増えています。
そのため、未経験で新しい業界に飛び込む、別の職種にチャレンジするということは難しいかもしれません。
現在を持っているスキルやノウハウを生かせる職種を目指す方が堅実と言えるでしょう。
正規採用にこだわらない企業が増えている
コストカットなどを目的に、正規採用にこだわらず、新たな雇用形態で人材を獲得しようとする企業が増えています。
アウトソーシングでは、外部の優秀な人材を少ないコストで獲得することが可能です。
フリーランスとして働いたり、副業を始めたりするチャンスはありますが、正社員として採用を勝ち取るには、厳しい状況になりつつあるのが現状です。
コロナ禍でも活発に採用しているのはどのような企業?
コロナ禍で完全に求人がストップしているかというと、そうではありません。かえって活発に選考を行っている企業もあり、転職のチャンスは確かにあります。
どのような企業が活発に動いているのかをチェックしていきましょう。
新しい戦い方で乗り切ろうとしている企業
コロナによって、これまでの方法では通用しない状況になりつつあります。
対面での営業がメインだった企業がオンラインにシフトしたり、現在のニーズに合った新事業を展開したりして、新しい戦い方を模索している企業は、活発に選考していることが多いです。
新しい戦い方を支える、スキル・ノウハウのある人材を求めているでしょう。
コロナ禍でニーズが高まっている企業
コロナ禍でニーズが高まっている商材を扱う企業も存在します。
オンラインサービスや自宅で楽しめるものを扱う企業であれば、コロナ前よりも事業が活発になっており、選考も継続しているでしょう。
コロナショックをチャンスと捉えている企業
コロナショックは、多くの企業にとっては青天の霹靂であり、ネガティブな出来事です。苦境に立たされているからこそチャンスと捉え、ピンチをチャンスに変えようとする企業もあります。
苦境に立ち向かっていく企業でやりがいを持って、仕事に打ち込めるチャンスと言えるでしょう。
将来を考えて採用を続ける企業
コロナの収束はまだ見えていない状況ですが、将来を見据えて採用を続ける企業もあります。
いざ収束したときに、人材を獲得できないといった事態もゼロではありません。中長期的に採用を続けている企業には、転職のチャンスがあるでしょう。
コロナ禍の転職のチャンスをつかむためには
コロナ禍での転職は、苦しい現状のなか、いかに企業の力になれるかを示したり、ピンチをチャンスに変える強い意思を持ったりする必要があります。
転職のチャンスをつかむために必要な考え方を3つご紹介します。
自分の経験・スキルを棚卸しする
コロナ禍では、未経験での採用は厳しいものになり、即戦力であることをアピールする必要があります。アピールするためには、自分の経験・スキルを見つめ直すことが大切です。
これまでにどのような経験をしてきたか、スキルを生かして何ができるのかを棚卸ししましょう。
経験・スキルを生かせる職種を中心に探し、苦境を乗り切る力になれることを伝えることが求められます。
価値観に合わせて新しいチャレンジをする
未経験業界・職種への転職は厳しい状況ですが、コロナ禍での転職は価値のあるチャレンジになるはずです。
「スキルに磨きをかけたい」「スキルを生かせる分野で新たな仕事に関わりたい」といった価値観に合わせて、今だからこそできる新しいチャレンジをしてみましょう。
中途半端な想いでは失敗しやすい
何事も予想のつかないコロナ禍では、転職先でも苦境に立たされることもあるでしょう。
「とりあえずニーズのある会社に入っておこう」といった中途半端の想いだと、仕事に身が入らなかったり、スキルアップ・キャリアアップを実現できなかったりするなど、失敗してしまいやすいです。
なぜ今転職したいのか、転職先で何をしたいのかなど、転職への想いを明確にして、転職活動に取り組みましょう。
コロナ禍で転職のチャンスをつかみとろう
コロナ禍では、有効求人倍率が下がっている現状はあるものの、転職市場が完全にストップしたわけではありません。
オンライン面接の普及やニーズの変化などによって、転職のチャンスは確かにあります。
転職のチャンスをつかむには、自分の経験・スキルを棚卸しすること、価値観に合ったチャレンジをすること、想いを明確にすることの3つが大切です。
先の見えない状況ですが、今をチャンスと捉え、転職活動を成功させましょう。